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添乗員日記 ツアコン奮闘記Ⅱ オーストラリア大事件編②

ツアーコンダクター体験談

派遣添乗員20年の私が体験した、裏話、苦労話、他愛もないことから、とんでもないことまで、、ツアーに起こるハプニングなど綴っています!

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海外編 オーストラリア 空港大事件②

後編です…

前回は、オーストラリアツアーの18名を引き連れ

国内移動の空港へ到着。

JALのカウンターへ向かったのですが、、

そこはカンタス航空のカウンターで…

しかもカンタスの職員さんに聞くと、

この空港にJALのカウンターは「ない」とのこと…

とにかくパニックになった私は、

後ろで添乗員の私を信用しきって待っている

18名の方を見ると… そこにいるのが怖くなり…

10mほど先の自動ドアから外へ逃げました!

何が起きたのか分からない…

外へ出ると、、雲ひとつない青空とそよ風…

とにかく何が起きているのか分からない私は、

青い空を見上げて、大きく深呼吸しました。

いまでもあの空を忘れられません…

 

先ほどは一度逃げ出した私ですが、、

深呼吸して青い空を見上げると、

自然と、添乗員としての使命感がわいてきました。

「何が何だかわからないけど、18人のお客さんを

無事に楽しんでもらうのが自分の役目…」

 

そうなんです、、この事件を機に、私は後輩に、

「ツアー中何も問題がなければ、添乗員のいる意味はない、

何かあったときに解決するために、添乗員がいる。

トラブルを解決するのも、ツアーを安全に進めるのも

海外に行けば、一人でやるしかない!」

と言っています。

 

トラブルや事故があれば、海外なら特に、

自分で解決するしかないのが添乗員です!

今ならスマホで日本に相談できるのがうらやましいですが…

それでもやはり緊急の時は、自分で判断するしかない!

ウィーアー イン テリブル トラボー …空港が違うんです!!

意を決した私は、

先ほど出てきた自動ドアのすぐ近くの

インフォメーションカウンターに駆け寄り、

もの凄い形相で…(たぶん…)

「ウィー アー イン テリブル トラブル!」

と言ったのを覚えています。

 

インフォメーションのおねえさんが、、

私のあまりの形相に、、

「WHAT…?、、、TAKE IT EASY、、」

大丈夫ですよ~ 何があったのですか~

と言った感じでとても優しく聞いてくれました、、

しかし、私は、気も焦っている…

何よりも、まだ何が起こっているかわからない…

焦って話すと、、日本語でさえ大変なのに…

英語が出てこない、、、

おねえさんは「おちついて、、、」と言ってくれているのに、、

 

この時には、10mほどの18名のお客さんたちも

インフォメーションにいる私の姿が目に入り、、

なにか起こっている、、ことを察して、、

みんな、やや心配そうな顔で見ているのが分かりました…

 

結局英語がうまく口から出てこず、、、

困った私は追い詰められて、、

英語で書かれた予定表と、航空券を指でなぞりながら、

日本語で、

「空港が違うんです!!JALに乗りたいんだけど、

この空港じゃない!!どうしたらいいかわからない!!」

と、身振り手振りを混ぜて、話しました!

 

すると、おねえさんは、、、

私にも分かるくらい、ゆっくりとした簡単な英語で、、

「(英語)今いるのは、国内ターミナルです。

おそらくあなたがたは、国際ターミナルへ行きたいのでは…

100m先に、国際ターミナルへの連絡バス発着所があります」

とほんとに丁寧に、優しく、教えてくれました!

 

かつて先輩方が言っていた、、

「困った時は、日本語で伝えるのが一番!」

「かたことの英語より、日本語の方が、感情が伝わる!」

「最後の最後はボディランゲージだ!」

は本当でした…笑(前編参照)

 

ここまで聞くと、私にもなんとなく事情が分かってきました!

要は、国際ターミナルに行かないといけないのに、

今は、国内ターミナルにいる、、ということ。

そしてその間には、連絡バスが走っている、、、

ということは、ターミナル間は結構距離もあるということ…

 

ここで、私は冷静さを取り戻し、

時計を見ました。

飛行機の出発時間まで、あと1時間と少し…

移動できるだろうか、、、

 

「余裕があれば、100m先のバスを見に行ってから

確実な情報と合わせて、お客さんに伝えたい、、、

今のままお話したら、きっとみんな不安になるはず、、

もしかしたら、怒り出す人もいるかもしれない…」

それでも、、、時間がない、、、

「よしっ!!」

自分の心を奮起させ、私は、不安そうに見ている

みんなのところへ行きました。

タクシーでもいいですよ!みんなついていきます!

私が近づいてくるので、

少し安心したような顔で、みんなは迎えてくれました…

少し年配夫婦の佐々木さんが、

「なにかあったんですか…?」

「はい…」

みんな静かにこちらを見ます。

私は大きな声で言いました。

「実は空港が違います。

バスが違うターミナルに着いてしまいました。

これから本来の国際ターミナルに向かいたいのですが、、

ここがどこで、どうやって行くか、

まだ把握していません、、、」

「あと1時間後には、本来の飛行機が出発します。

それまでに何とか皆さんをご案内したいと思います。

これから、100m先の連絡バス乗り場へ行ってみます、

ただそこでどうなるか、まだわかりません。

これしか皆さんに伝えられないのですが、

どうかお願い致します」

お友達同士で参加のご夫婦、鈴木さんの旦那さんが、

間髪入れずに、、

「わかりました!○○さん(私)についていきます!

よろしくお願いします!」と言ってくれました。

若い皆川さんが、

「とにかく、みんなでまとまっていきましょう!」

最高齢の豊田さんご夫婦が

「○○(私)さん!お金がかかっても

タクシーでもいいですよ!

みんなで協力していきましょう!」

泣いている場合ではないのですが、

予想をはるかに超えて、みんなの温かい声に

思わず涙が…

そして、

「では、行きましょう!」

なんだか、急に勇気が湧いてきて、、

これは大丈夫、何とかなる!という

根拠のない自信も出てきました。

そして、

18人もみんなも、なぜか不安というより、

大きな敵を倒しに行く冒険家たちみたいな、、

いくぞー!というような大行進でした。

みんなが協力して突破!

バスカウンターへ着いて、話をすると、、

それは大変だということになり、、

係の方が、、

「連絡バスだと、数か所に止まるので、時間がかかります。

貸切にして直接国際ターミナルへ行くようにしましょう!」

しかも、全員が長期旅行のスーツケースを持っているを見て、

「2台を貸切にします。これで移動してください!」

なんとありがたい!

しかも運賃は通常の連絡バス料金でよいとのこと、、、

トラブルが起こるといつもそうですが、、

どの国に行っても、困っている人には、

みんな親切です。改めてひとのあたたかさを感じました。

 

「問題は2台に分かれることですね…」

18人にバスのことを伝えて、

お金の支払いをしていると…

なんと、、、

お客さん同士で、話あい、

勝手に2班編成が出来上がっています…

しかも、1班は〇〇(私)、、

「2班は私が行きます!」

と英語の堪能な若手の岩崎さんが、

2班の代表をかってでてくれました!

走りましょう!!!

2班に分かれ、バスにのり約10分

新たなターミナルが見えてきて、、

到着しました。

「ここか~!」

バスを降りると、みんなも感慨深く、空港を見上げています、、

が、ゆっくりしている場合ではない…

時計を見ると、フライトまであと20分…

連絡手段がないため、

JAL側では私たちが急いで向かっていることを知りません、、

「私たちがこないものと判断され取り消しでもされたら大変なことになる…」

落ち着けと思っても、焦ってしまいます…

 

2班のバスも到着し、全員がいることを確認すると、、

空港の中にみんなで入りました。

右手を見ると、、、

かなりむこうに「JAL」の看板が見えます!

すると、、皆川さんと、岩崎さんがそろって

「先に走りましょう!!」

後ろを見ると、みんなうなづいています…

「皆さん、あのJALまでゆっくり進んできてください、

僕と、皆川さんと岩崎さんは、先に行ってます!」

「おー!」

3人でJALのカウンターへ走り込み、

「遅くなりましたが、全員揃っています!

手続きをお願いします!」

JALのお姉さんも、理由を聞く間もなく、

緊急対応として、私たち専用のカウンターを開けてくれました。

 

みんなの動きは感動的で、、

若手が、ご年配のかたのスーツケースを持ったり、、

誰かがはぐれるようなことがないように

3人が最後尾をしっかり守ったり、

まさに一丸となって、カウンターへ到着、、

この後もみんなで協力しながら手続きを進め、

なんとフライト時間には、全員が機内に着座をしていました!

のちのちわかったこと

こんなピンチがあると、

もう、一つのチーム…

その後数日の観光は、

まるで何年も一緒のクラスで来た

修学旅行のような雰囲気でとても楽しい時間を過ごしました。

 

最終日には、旅行がおわり、

みんなばらばらになるのが寂しくて、、

帰りの飛行機では、後ろのスペースで

いれかわり立ち代わり何時間も私たちの

誰かが話しをしているという

なかなかない状況になったのでした…

フライトアテンドのお姉さんが

「ツアーの皆さん、とても仲が良いんですね、

よい旅行だったのですね!」

と声をかけてくれました。

私たちは「ええ、とても!」

と結局日本につくまでのフライト時間の

多くをみんなで過ごしていました。

 

話しは戻りますが、、

今回のそもそもの原因は、本来乗る予定だった

ブリスベンからシドニーへの国内線に空きがなく、

数回あるツアーのこの回だけ、

シドニー経由(立ち寄り)で日本へ行く国際線の

一部区間のみを利用して国内移動するというイレギュラー対応で、

そのため、国際ターミナルへ行かないと行けなかったのですが、

ツアー会社から私にもしっかりとした説明がなく、

日本の旅行会社と、現地のツアーオペレーター間でも

話がうまく伝わっておらず、、、

ドライバーへの指示書は国内線ターミナルとなっていたそうです。

ただ、気づけるチャンスが一度だけあり、、

ドライバーとの出発前の会話…

ドライバー「(英語で)今日は国内ターミナルでシドニーでいいんだよね?」

とわざわざ聞いてくれていたのですね。でも…

私「(英語で)そうです!午後はシドニー観光ですよ!」

ドライバー「(英語で)OKOK!それじゃ国内ターミナルへ送っていくよ」

私「(英語で)よろしく!」

とスタートしたのでした…

添乗員日記 ツアコン奮闘記Ⅱ オーストラリア大事件編①
派遣添乗員20年の私が体験した、裏話、苦労話、他愛もないことから、とんでもないことまで、、ツアーに起こるハプニングなど綴...

 

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